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むさしの自然観察園公式ブログ

むさしの自然観察園は身近な自然環境について学ぶために2005年7月にオープンした武蔵野市の施設です。
数百種類に及ぶ植物が栽培されており、園内では季節の花々を楽しむことができます。また管理棟内では水生生物などを飼育しています。

  • 10月 マルバフジバカマ(セイヨウフジバカマ)キク科

     アメリカ東部~中部が原産の多年草で、日本には1896年(明治29年)に渡来した。9月~10月の花期になると、茎の頂部に青あるいは白い頭花を多数咲かせる。暗紫色の葉、紫色の茎、青や白い小花のコントラストが美しい。春先の葉の色は光沢のあるチョコレート色で、そのため銅葉フジバカマ、ユーパトリウム・チョコレートの名でも流通している。渡来した約20年後の1915年頃から箱根の強羅周辺に逸出品が見出されており、強羅自然公園に植栽されたものが広がったと考えられている。やがて1935年頃には、小涌谷まで広がり、1968年には横浜でも見られるようになった。現在では関東周辺に多くみられるが、北海道、本州、四国、九州にまで分布を広げている。自生地では森林地域の岩場や木の隙間、茂みの中などの岩の多い地形に多く野生しており、日本では市街地、路傍の石垣の間、特に二次林やスギ林の林床で繁茂している。このことから近年、環境省の生態系被害防止外来種に指定された。
     また、近年の研究で、本種はフジバカマ(Eupatorium japonicum)と同じヒヨドリバナ属(Eupatorium)の仲間ではなく、アゲラティナ属に分離された。従って、ユーパトリウム・チョコレートの名は使えず、アゲラティナ・アルティッシマ・チョコラーテ(Ageratina altissima’Chocolate’)となる。だが、流通業界では旧名のままだ。
     観察園内に花を愛するある女性が「綺麗よ」と植えた旧名ユーパトリウム・チョコレートは、園内のあちらこちらで繁茂しだした。逸出・繁茂しないように駆除作業が必要になった。彼女への説得は・・・理詰めでいくしかないか。

  • 10月 アメジスト・セージ(サルビア・レウカンサ)シソ科

     メキシコ~中央アメリカの原産で、明治時代後期に日本に渡来。日本でよく知られるサルビアの仲間で、鮮やかな紫色の花穂を出すので、サルビアとの混同を避けるため、同じサルビア属のセージ(ハーブとして知られる)の名と組み合わせてアメジスト・セージの名が流通業界で付けられ、広まった。繁殖力旺盛でブッシュ状に繁茂するので、原産地のメキシコと合わせて、メキシカンブッシュセージとも呼ばれる。学名のレウカンサ(leucantha)はラテン語で白+花を意味するので、原種は紫色の萼と白い唇状花であると思われるが、園芸品種としてはピンクや赤紫の唇状花も出現している。
     ラテン語のサルビアの語源は「健康な salvus」の意味であり、古くからSalvia officinalis が薬草とされていたからで、この薬用サルビアがフランス語ではsauge に転訛し英語でsageに転訛した。すなわち、日本のサルビアも料理用のセージも同じアキギリ属(salvia属)である。日本では、あの赤い花穂のサルビア(Salvia splendens)の名が一般化・固定概念化したので、それ以外のアキギリ属(サルビア属)にはセージの名が冠せられている。また、料理に使われる「セージ」は、欧米で薬用サルビア(Salvia officinalis)に固定概念化されたので、他のセージとは別の種であることも、忘れてはいけない。

  • 10月 シュウメイギク(秋明菊、キブネギク)キンポウゲ科

     草丈50~60㎝で細く長い花茎の先端にコスモスに似たピンクや白の花を咲かせ、秋風に揺れる姿が好まれている。コスモスや菊の仲間ではなく、アネモネ属(イチリンソウ属)で、古い時代に中国から渡来したと言われている。しかし、詩歌や文学には現れず、園芸が盛んになった徳川時代になって文献に現れるようになった不思議な花である。
     別名をキブネギクと言うが、これは京都左京区の貴船地区に野生化した本種が多く見られることからの名前で、この中国渡来の原種と思われるシュウメイギクは、濃い赤紫色の細い花弁が八重で菊の花である。菊咲きというよりもダリア咲きと表現したほうが花にあっている。この少しアクが強い感じの花であるため人気が出かったのであろうか。現在我々が目にするシュウメイギクは、類の種との交配によって得られたもので、写真のシュウメイギクも交配種である。日本人の感覚として、濃赤紫色でダリア咲きのものよりも、秋風に揺れる楚々とした一重で花弁が大きくなったピンク白の花の方が、好まれたということだろうか。

  • 10月 シュウカイドウ(秋海棠)シュウカイドウ科

     中国山東省以南~マレー半島原産で、日本には江戸時代初期に中国から渡来した。本種は中国名の秋海棠の音読みが名前になった。8月10月にかけて日陰で咲く。江戸時代の本草学者・儒学者である貝原益軒の『大和本草』1709年の巻七・草の三には、「寛永年中、中華ヨリ初テ長崎ニ来ル。ソレヨリ以前ハ本邦ニナシ。花ノ色海棠ニ似タリ。故ニ名ツク」と記している。この解説に難癖をつければ、花の色が春に咲く海棠に似ているだけでなく、花を下向きにつりさげて咲く姿も似ているからだと思う。歌人や茶人に好まれ、俳聖と呼ばれる松尾芭蕉は「秋海棠 西瓜の色に 咲きにけり」と詠んだ。再び難癖をつければ、秋海棠がピンク色に咲いたというだけの俳句で、これでは同じ時期まで咲いているサルスベリでも良い。「百日紅 西瓜の色に 咲きにけり」でも良いはずだ。上記解説も俳句も、なんとなく素っ気なさを感じる。日陰につましく咲いている秋海棠に愛おしさを感ずるも今一つ心を動かすものがない、影の薄い存在なのだろうか。

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