5月の花 サラサウツギ

サラサウツギ
サラサウツギ アジサイ科

卯の花の名で知られるウツギの八重咲き品種で、白い花弁ばかりのものをシロバナヤエウツギと呼び、外側の花弁が美しい淡紅紫色で内側の花弁が白色のものをサラサウツギと呼ぶ。沢山の蕾から一斉に花が咲くので、大変華やかであるが、恥じらいが感じられる初々しさもあるので、女子高生の団体に出会ったような印象を受ける。だが、枝には粘りがあり丈夫なため、タンスなどの木釘に使われたことを考えると、幻想は儚く消えてしまう。

5月の花 カシワバアジサイ

カシワバアジサイ
カシワバアジサイ アジサイ科アジサイ属

北米南東部のルイジアナ、テネシー、ノースカロライナ、サウスカロライナ、アラバマ、フロリダ州が原産で、落葉樹林の渓谷や河川の流域などに自生する。同じくアメリカ原産のアジサイである「アナベル」とともに、近年人気が出てきた。花のように見える部分は、ガクが大きく発達した「装飾花」と呼ばれるもので、装飾花は時間の経過とともにピンク色に染まっていく。装飾花はアナベルと同様に散らずに長く残る。しかし、剪定せずに長く枝に残しておくと、秋に花芽ができるので、冬に枝を切ると花芽を切ってしまうことになる。カシワバアジサイは、アジサイ、ガクアジサイ、ヤマアジサイと同様に、花後の7月までに花から2~3節下の脇芽が出ている上で剪定をすることが必要。一方、アナベルは、ノリウツギと同様に4月以降、新芽から花芽ができるので、冬までに剪定をしておけばよい。同じアジサイ科でも花芽ができる時期が異なるので、花後の剪定時期に注意が必要。

5月の花 ハナワギク

北アフリカのモロッコ原産の一年草で、春菊の近縁種。春菊は花弁は白で基部は黄色であるが、ハナワギクは花弁の基部が黒っぽい蛇の目模様になり、花弁はくすんだ黄色、樺色、ベージュなどの色合いのものが多く、一つの花が3色になるものもある。欧米では一般的な花であるが、くすんだ花色だからか、苗が入手できないからか、日本ではあまり普及していない。春菊と異なり、食べるとお腹をこわすことがあるようなので、野菜を作っている場所には植えない方が良い。

5月の花 ヤマアジサイ・黒姫

ヤマアジサイ
ヤマアジサイ・黒姫 アジサイ科

クロヒメヤマアジサイと呼ぶと、日本海側に多いエゾアジサイと勘違いするが、花が濃い青紫色で茎は黒みを帯びるところからクロヒメの名がついたヤマアジサイの園芸品種である。ガクアジサイの花がすべて装飾花となった通称アジサイは華やかだが、床の間に飾るには、気品が感じられるヤマアジサイ黒姫が適しているように思う。

5月の花 ムシトリナデシコ

ムシトリナデシコ
ムシトリナデシコ ナデシコ科

ヨーロッパ原産の越年草で、茎上部の葉の下に、粘液を分泌する部分が帯状にあり、これに虫が付着して捕らえられることがあることからの名前。付着して捕獲された昆虫を消化吸収する食虫植物ではない。花の蜜を盗むだけで効果的な受粉を行わないアリが茎をよじ登り花にやってくるのを防ぐためか、あるいは、受粉に効果のあるチョウやアブを捕獲するクモやカマキリの接近を防ぐためであろうと考えられる。そのことを知っているのか、多くのチョウがこの花に訪れ、じっくりと蜜を吸っている姿を見ることが多い。ナデシコに似て可憐な花であるが、したたかな知恵を持っている。