主に日当たりの良い草原や河原に生育し、可憐で愛らしい花であるゆえに撫で撫でしたくなる花の「撫でし子」が本種の名前となったと言われている。万葉集にも謳われている秋の七草の一つで、古くから親しまれている身近な草花だった。平安時代に中国原産のセキチク(石竹)が渡来し、「唐なでしこ」と呼ばれたので、本種は「大和なでしこ」、「河原なでしこ」とも言われるようになった。昔は蛇行している川が多く河原が多く見られた。また、屋根材として茅(ススキ)を使い、牛馬の飼料にもしたので茅原も多く見られた。こうした草原は野焼きや草刈りで陽当たりのよい草原環境が保たれたので、ナデシコは里地・里山の身近な花だったが、人間の生活習慣の変化などで、河原や草原が姿を消した結果、今では多くの県で絶滅危惧種になっている。