5月 ヤナギラン(柳蘭)アカバナ科

ヤナギラン
ヤナギラン アカバナ科

葉はヤナギに似ていて、花はシランの花に似ていることからの名前。冷涼な高原で群落をなし、盛夏の草原をピンク色に染める様は風物詩となる。西欧・アジア・北米などの北半球の温帯~寒地に広く分布する植物で、特に山火事の跡地、森林伐採跡地、スキー場などの裸地にいち早く侵入して大繁茂するが、他の植物が生育してくると群落が、蜃気楼のように消えてしまう。山火事の多い北米では、火事場跡の雑草(Fire Weed)と呼ばれ、ロシアでは一般的なハーブティ(Ivan-chai イワン・チャイ=普通茶の意味)の材料として、大量に花と葉が刈られている。日本では本州中部以北の高原や北海道で見られるが、近年、温暖化のせいで植物の成長が早いからか、シカ害によるものなのか、ヤナギランの群落地が少なくなり、埼玉県、宮城県、栃木県、山形県、宮城県、秋田県では、絶滅危惧種に指定されている。東京の市街地でヤナギランを栽培するのは難しく、気を使って栽培しているが、この花も蜃気楼のように、来年は消えてしまうのだろうか。