1913年(大正2年)に、牧野富太郎が高尾山で発見・命名した野草で、エゴマに似ていて、葉にレモンの香りがすることからの名前。東南アジア原産のエゴマの変種であり、本州中部以南~九州に産する。エゴマ栽培の本場は関西であるのに、エゴマが野生化して出来たレモンエゴマを高尾山で見つけたということから、高尾山の特異な植生と明治の植物学の創期が偲ばれる。 和名のエゴマ(荏胡麻)の荏(ジン)は漢語でエゴマを指し、朝鮮語ではエの発音と昔の日本人は理解していた模様で、源順『和名類聚抄』934年には、荏は「和名衣(和名はエ)」、小野嵐山『本草綱目啓蒙10』1806には「荏はヱ」と記している。エゴマのゴマ(胡麻)は、胡の国(トルキスタンなどペシャ系の民族が住んでいる国)の麻(アサ)の意味であるから、レモンエゴマの名前はレモンの英語、エゴマのエは朝鮮、ゴマのゴはペルシャ、マは中国・・・と、なんとまぁ、4か国が絡んでいる。