ケイトウの原産地は熱帯地方で、日本には奈良時代に中国を経由して渡来。古くは韓藍(からあい)と呼ばれ、その紅色の花汁を写し染めに用いたようだ。私が小学生だった頃は、庭の花壇の片隅に仏壇に供える花を栽培するコーナーがあり、祖母はそこに百日草(ジニア)、金盞花(カレンデュラ)、花魁草(フロックス)、菊など、いずれも切り花に使えるよう花期が長い花を植えていた。そこにはかならず鶏頭(ケロシア)も植わっていた。子ども心には、鶏のトサカに似た奇妙な形で、毒々しい赤色であり、花弁が短くモサモサした触感の花は、好きになれず、単に暑苦しく感じる嫌な花だった。だが、今では品種改良されて、トサカケイトウ・グループのほか、久留米ケイトウ、槍ケイトウ、羽毛ケイトウ、野ケイトウなど5つ形のグループがある。色彩も赤のほか鮮紅色、緋色、橙、黄色、白などがあり、庭先をあでやかに彩る花に変質した。写真の花は野ケイトウGr.の品種で名はシャロン。花穂を陰干しすれば、シルバーピンク色の美しいドライフラワーとなる。