シソ科の宿根性多年草で日本固有種。関東地方以南の本州から九州にかけて分布する。草丈は40㎝~70㎝ほどで木質化し、9月~10月に白い穂状の花を咲かせる。冬には枯れて葉が落ちた茎が地上部に残る。厳寒期に地表近くの気温が0℃以下に下がると、地下の根は活動していて吸い上げた水分が枯れ茎に届き、そこで氷結がおきるが、次々と水分が届けられるので、氷結した部分は押し出され、枯れ茎のまわりに綿あめのように大きくなり氷の華が出来る。雪を掃き寄せたようになることから、雪寄せ草の別名がある。この氷の華の形は奇想天外な形をしており、山野草好きな多くの人々は、高尾山のもみじ台の北側巻き道まで鑑賞に出かける。ここは日陰なので朝日に当たって、あるいは気温が上がって、氷の華が溶けてなくなる時間が遅いからである。
むさしの自然観察園では、シモバシラは旺盛に繁殖するが、市街地ゆえに気温が高く、氷の華は朝10時頃には殆ど溶けて消えてしまう。50年ほど前、陸上競技場の横の麦畑では、朝の通勤時に畑一面に霜柱が立って土を持ちあげている風景が見られたが、温暖化のためか今では霜柱が立つことも少なく、シモバシラの氷の華をみることも難しくなった。