6月の生きもの モノサシトンボのメス

平地から丘陵地にかけて分布し、樹林に囲まれた池、沼、湿地でよく見られ、岸辺が暗い環境を好む。学校ビオトープでもよく見られる。腹部には輪になった環形紋が等間隔にあり、目盛りのように見えることがモノサシトンボの名前の由来。オスはこの環形紋が水色だが、メスは黄褐色や淡緑色になるものがおり、それだけでなく、オスのような水色の色彩になるものもいるので、チラッと見ただけでは雌雄の判断が難しい。

6月の生きもの オオシオカラトンボのオス

開けた明るい水面を好むシオカラトンボに比べて、オオシオカラトンボは樹林の縁に囲まれた池沼・湿地など、木陰となり少し薄くらい環境を好んで生活する。シオカラトンボは、腰から下が急に細くなっているが、本種は尾の先までほぼ同じ太さ。オスは全体的に青みがかっており、腹の先と目は黒い。シオカラの方が腹の先の黒い部分が多い。オオシオカラトンボの翅の付け根は暗褐色だが、シオカラトンボは透明である。メスは腹が黄色でオスに比べて全体的に黒っぽい。黒い翅脈の走る透明な翅に黒い縁紋を持ち、先端は暗褐色になる。学校ビオトープなどで見られるのは、シオカラトンボよりもオオシオカラトンボの方が多い。

6月の生きもの ジャコウアゲハの幼虫

ジャコウアゲハの成虫は黒いアゲハチョウで、オスの下腹部はジャコウの香りがすることが名前の由来。幼虫は、食草のウマノスズクサを食べて、アリストロキア酸(アルカロイド)という有毒成分を貯めこむ。これにより、幼虫、成虫とも小鳥などから身を守っている。クロアゲハ、カラスアゲハ、ナガサキアゲハ、などのアゲハチョウなどの黒いアゲハチョウやアゲハモドキなどの蛾は、ジャコウアゲハに擬態していると考えられている。蛹は美しく目立つ黄色で、番町皿屋敷のお菊の亡霊の姿に似ていると見て、お菊虫の別名がある。

6月の生きもの キアゲハの幼虫と成虫

我々がよくみるアゲハチョウ(ナミアゲハ)とキアゲハは、飛んでいる姿を見た時はよく似ていて間違うこともある。しかし、幼虫は全く異なる姿をしている。ナミアゲハの幼虫はミカン類やサンショウを食草とし、終齢幼虫は緑色のイモムシで胸部に黒と白の目玉模様ができて、緑色のヘビに擬態しているようだが、愛嬌のある表情ともいえる。一方、キアゲハの終齢幼虫は、黒と緑の派手な縞模様で、黒い縞模様の部分には黄色の警戒色も入り、毒々しい風貌をしている。エサはセリ科植物で、海岸沿いではアシタバ、ハマウドなど、高山地帯ではシシウド、ミヤマウイキョウなど、平地ではセリ、ミツバなど、農地ではニンジン、パセリ、フェンネルなどを食草としているため、生育地が広い。写真の食草はセリ。

6月の生きもの アカボシゴマダラ

40年前の夏、北京郊外の香山公園にて、梢の先を滑空する姿を見かけた蝶だ。ゴマダラチョウにしては大きくて赤い斑紋があるなと、差異を記憶している。今では関東一円に分布し武蔵野市でもよく見られる蝶となった。恐らく蝶マニアが日本で繁殖させたのだろう。在来種のゴマダラチョウよりも越冬幼虫は春早く冬眠から醒め、芽吹いたばかりの食草のエノキの若芽を貪り食い、あとから目覚めた在来種には、若葉が残されていない。2017年11月特定外来生物に指定され、飼育・販売・運搬等が禁止された。観察園では今年、園内に飛来したアカボシゴマダラを7匹捕殺した。