7月の生きもの ナガサキアゲハ

江戸時代の1823年に来日したシーボルトが、長崎で発見して広く世に知られるようになったことからの名前。江戸時代では九州以南に限られていた分布域は、拡大しつつあり、1940年代では山口県南部や高知県南部でも見られるようになり、1960年代には淡路島、2000年初頭には福井県や神奈川県西部の太平洋側で越冬が確認され、2007年には茨城県南西部、2009年には栃木県南部で多数見られた。この年には宮城県名取市でも見られている。こうした分布の変遷から、本種は地球温暖化の指標種として注目されている。筆者がチョウの採集をしていた中学時代の1950年代は、ナガサキアゲハは南方の憧れの別格のチョウであったが、今では武蔵野市で普通にみられるチョウになり下がってしまった。そんなことに大きな失意を感じる小生の気持ちを理解してくれる人は・・・・いない。

7月の植物 チダケサシ

夏に高さ1mほどの長い花茎を出して、ほぼ白色~薄紅色の花を咲かせる。夏から秋にかけて山で採取したチチタケ(チタケとも言う)を、持ち帰るのに、本種の長くて堅い花茎にチチタケをさして持ち帰ったことからの名前。チチタケは独特のよい出汁が出るため、特に栃木県ではマツタケよりも高価に取引され、炒めたナスとチチタケをつゆに用いる「ちたけ蕎麦」は代表的な郷土料理となっている。さて、チチタケの傘の部分はもろいのだが、チダケサシの花茎をどのようにチチタケにさして持ち運んだのだろうか。柄の部分にイワシの目刺しのように並べて花茎をさしたのだろうか、それとも、傘の上から柄の根元部分へ挿し通して、傘が触れ合って欠損しないよう固定して運んだのだろうか。目刺しのように刺したなら「乳茸刺」だが、傘から柄へ通して運んだとなると「乳茸挿」ではないだろうか・・・書物では一様に「乳茸刺」となっているが・・・・。ヒマ老人の考えることはくだらない・・・・か。

7月の植物 アカバナウバユリ

山林の林内に自生するウバユリの赤花品種。だいぶ以前、長崎県とその後熊本県の極めて限られた場所での自生が発見され、発見者によって自家栽培された子孫が市場に出回ったものと思われる。ウバユリの園芸品種となるのか、変種なのか、別種となるのか、分類も生態も不明な部分が多い植物(正式学名はまだついていない)。一度花を咲かせると、元の球根は消滅し、小さい球根が複数残る。種子から花が咲くまで成長するには5~6年はかかる。市場に出回っているのは、黒みがかった濃紅色であるが、自生する現地では鮮紅色のものもあるようだ。ということで、観察園ではこの濃紅色の花後の種子を蒔いて、その中から鮮紅色のものが出現しないかなぁと、5~6年先の夢を追いかけ育てている。

7月の植物 ツリガネニンジン

花が釣鐘形で、根が朝鮮人参に似ていることからの名前。草原や草刈りなどの管理された河川堤防など、日当たりの良い草地に自生。玉川上水の護岸には、上水が草原に開削された時の遺存植物として、現在でも多く自生している。花時は本種であることが分るが、花がない時期は、葉の形や大きさ、葉序が株によって大きく異なるものがあり、混乱させられる。変種も多く、中国・九州地方ではサイヨウシャジン、中部地方以北の高山植物ハクサンシャジン、四国蛇紋岩地域のオトメシャジンなどがある。根を煎じたものは健胃、鎮咳に効能ありとされ、山菜として「山でうまいはオケラにトトキ、里でうまいはウリ、ナスビ、嫁に食わすは惜しうござる」と長野県の俚謡で歌われている。だが、それほど美味いものではない。山村の食の貧しさを期せずして表している。

7月の植物 ハクチョウソウ

白い花弁が4枚、そのうち上の2枚は斜め上に開き、下の2枚は左右水平に開く。触角のように長い雄しべが下向きにでて、丁度、白い蝶が下向きに止まっているように見えるところからの名前。それゆえ白鳥草ではなく、白蝶草である。しかし、桃色の園芸品種は、ヤマモモソウと呼ばれている。山桃(ヤマモモ科)とは似て似つかぬ花であり、名づけの親のセンスが疑われる。そのせいか、園芸店では旧学名の属名からとったガウラ(Gaura lindheimeri)の名が使われるようになった。しかし、しかし、最近、Gaura 属(ヤマモモソウ属)はマツヨイグサ属(Oenothera)に統合されたので Oenothera lindheimeriとなるが、その場合はガウラではなく、エノテラの名前を使うのだろうか。そんな人間界の戸惑いをよそに、今日もハクチョウソウは優雅に咲いている。

自然観察園ご利用に際してのお知らせ

新型コロナウイルス感染防止対策のため開園時間が変更となっています。

開園時間
 火から金曜日:13時から16時まで
 土・日・祝日:10時から16時まで

入園に際してのお願い
・過去2週間以内に感染が引き続き拡大している国・地域への訪問歴がある場合は入園をご遠慮ください。
・体調不良の方は入園をご遠慮ください。
・マスクを必ず着用してください。
・人と人との距離(ソーシャルディスタンス)を十分に確保してください。
・消毒による貴重な生物への影響を考慮し、トイレは当面の間使用できません。
・管理棟内をご利用頂く際には検温をお願いしています。

7月の生きもの ヤマトシジミ

北海道では見られないが、東京近辺ではモンシロチョウよりも、ずっと多く目にするチョウである。食草のカタバミが生えている所であれば、コンクリートの舗装道路の割れ目のカタバミでも産卵・繁殖する。カタバミには尿路結石などの原因となるシュウ酸を多く含んでおり、鳥獣による食害を防ぐ効果があるが、ヤマトシジミはそれを知っていてカタバミを食草としているのだろうか?酸っぱいだけで美味しくはないだろうに、粗食に耐え地味に生きていて繁殖に成功しているチョウである。

7月の植物 ゴーヤー

ウリ科のある野菜の沖縄方言が、今ではゴーヤーという一般流通名となっている。一昔前はニガウリの名で売られ、60年以上前は、標準和名のツルレイシの名で売られていた。インド・ボルネオなど熱帯アジア原産で、15~16世紀に中国に伝わり、日本へは16世紀頃に伝来。ゴーヤーの名が一般化したのは1990年代から始まった沖縄料理ブームでのゴーヤーチャンプルー、2001年に放送された沖縄県小浜島と沖縄本島を舞台にしたNHK連続テレビ小説『ちゅらさん』で登場したキャラクター人形「ゴーヤーマン」の影響によるものと思われる。温暖化が注目されだした近年は、成長が早くウリハムシによる食害が比較的少ないことから、グリーンカーテンの材料としてよく植栽されている。雄花と雌花があり、雌花に結実する。
油を使って高温で調理することで、苦味を適度に抑える料理に使われている。苦み成分はククルビタシンというフラボノイド系の成分によるもので、摂取し過ぎると下痢、胃腸障害等が生じる可能性があるので要注意。

7月の植物 ニワフジ(イワフジ)

ニワフジは草本状の小低木で、名前にフジがつくが、ナツフジのようにツルを伸ばすことはない。同じマメ科のコマツナギに似るが、コマツナギの花穂は上に出るのに対し、ニワフジは枝方向の横に出る。ナツフジの花穂は垂れ下がる。やさしいピンク色の蝶形花であるが、翼弁と竜骨弁が旗弁と大きく離れて下がり、大あくびをしたような、間が抜けた花になる。そのためか、花屋ではあまり売られてはいない。あでやかな花壇には見劣りして向かないが、自然風あるいは和風の花壇では風情があって持ち味が生きてくる。