表題に片仮名でなく漢字で雪割草と書いたが、訳がある。片仮名で書くと、サクラソウ科のユキワリソウを意味するからだ。「雪割草」と漢字で書いた場合はキンポウゲ科ミスミソウ属のミスミソウ、オオミスミソウ、スハマソウ、ケスハマソウの4種の総称となる。
則ち、ユキワリソウは、特に谷川岳、日光至仏山、白馬八方尾根などの蛇紋岩地帯で多く見られる高山帯に自生しているサクラソウ科サクラソウ属の多年草の名前であり、栽培は難しく、一般市場にはあまり出回らない。
一方、「雪割草」と漢字で書いた場合は、キンポウゲ科の上記4種の園芸名であり、総称である。それゆえ口頭で園芸店に問合せたり、誰かに説明する際は「キンポウゲ科の雪割草」と伝えることが必要となる。
さて雪割草は、高山植物のユキワリソウよりも栽培難度は高くないが、根腐れや葉焼けしやすい植物である。その中でオオミスミソウは比較的栽培が容易で、他の3種の花色が白、時にピンクと限定的であるのに対して、オオミスミソウは、白、桃、赤、紫、黄色、黄緑色など色彩に富み美しいので人気がある。それゆえ、「雪割草」は、オオミスミソウの代名詞ともなっている。なんともややこしい。
このオオミスミソウ、即ち雪割草はほぼ新潟県に産地が限られており、新潟県の県花となっている。ユキツバキ、ヒメサユリ、タニウツギなど、美しい花の自生地として新潟県は知られている。しかし、なぜ新潟県が産地なのか。日本酒の銘酒も新潟県に多い。美人の産地(?)としても有名だ。ほかに美人の産地としては、秋田、新潟、金沢、京都、鳥取、博多と、日本海側の1県おきが美人の産地と言われている。比較的降雪が多く水がきれいだからか・・・と、女房の前でうっかり声に出して呟いたら、大分県出身の女房は不機嫌な顔で「それは貴方の偏見ョ」と、筆者のあれこれ脈絡なく思考する遊戯は、バッサリ断ち切られてしまった。