茎の先端に、穂状の長さ10㎝~25㎝総状花序をつけ、淡紫色の多くの花をつける。長い花序を風になびかせる涼しげな姿は、高原の夏を代表する花の一つであり、多くのファンがいる。湿気を好み、谷沿いや湿り気のある草原に多い。茎は直立し、そこに4~6枚の葉が車輪状に生じる。その様子を五重塔など寺院の塔の上に立つ九枚の笠(九蓋)になぞらえて、九蓋草と名付けられた。以前は高山植物のウルップソウと同じクワガタソウ科に含められていたが、現在ではオオバコ科の仲間となっている。よりによってオオバコ科とは、クガイソウが可哀そうだ。イメージダウンも甚だしい。
6月 オカトラノオ(丘虎の尾) サクラソウ科
6月の植物 エキナケア(バレンギク)の花
北米中東部のミネソタ州からテキサス州にかけての各州に9種類が自生する多年草。日本で観賞用に栽培されているのは、オハイオからジョージア州に分布するエキナケア・プルプレア(ムラサキ・バレンギク)種。北米インディアンが外傷の手当に使用してきたハーブで、草丈60㎝~1mとなり、根が肥大する。エキナケアは免疫機構を刺激し治癒を促進する、免疫賦活薬としての効能があり、多くの薬剤が製造されている。紫、濃い桃色、白、黄色、赤色の花をつけ、突起した中心球果をもち花弁は舌状花で下向に咲く姿が、火消しの纏(まとい)にのれんのように付いているふさふさした部分(馬簾)に似ている所からの名前。花びらが散ったあと球状に残る頭状花はドライフラワーとして使用できる。
6月 コマツナギ
6月の生きもの モノサシトンボのメス
6月の生きもの オオシオカラトンボのオス
開けた明るい水面を好むシオカラトンボに比べて、オオシオカラトンボは樹林の縁に囲まれた池沼・湿地など、木陰となり少し薄くらい環境を好んで生活する。シオカラトンボは、腰から下が急に細くなっているが、本種は尾の先までほぼ同じ太さ。オスは全体的に青みがかっており、腹の先と目は黒い。シオカラの方が腹の先の黒い部分が多い。オオシオカラトンボの翅の付け根は暗褐色だが、シオカラトンボは透明である。メスは腹が黄色でオスに比べて全体的に黒っぽい。黒い翅脈の走る透明な翅に黒い縁紋を持ち、先端は暗褐色になる。学校ビオトープなどで見られるのは、シオカラトンボよりもオオシオカラトンボの方が多い。
6月 ヤナギイチゴの果実
6月の植物 ニゲラ(クロタネソウ)の花と袋果
これは、日本名クロタネソウ、園芸店でニゲラの名で売られているキンポウゲ科秋まき一年草の花と花後の袋果。ニゲラ属(クロタネソウ属)16種のうち、園芸店で扱うのは主としてニゲラ・ダマスケナ種(Nigella damascena)だ。袋果は茎ごと陰干しにして、クリアラッカースプレーを吹きかけると、素敵なドライフラワーになる。袋果の中の黒い(ラテン語=Niger)タネは、ブラッククミンと呼ばれ、カレーのスパイスとなっているが、それはニゲラ・サティヴァ(Nigella sativa)の種子のみで、日本での栽培は少ない。なにしろ、キンポウゲ科なので他のニゲラの種子は有毒。西欧では花をLove-in-a-mist、袋果をDevil-in-a-bush と呼ぶ。詩的ですね。