日本、朝鮮半島に分布し、湿地や田の畔、用水路の縁などに生え、草丈50㎝~1mになる多年草。お盆の頃に紅紫色で6弁の小さい花を先端部の葉脇に多数つける。
名前の由来は、お盆の迎え火を焚く前に、この花で周囲に水を撒く風習からのようだ。そのため、ボンバナ(盆花)、ショウリョウバナ(精霊花)などの別名もある。すなわち、みそぎ(禊)に使用する萩に似た花であることから、みそぎ萩がミソハギとなったもので、溝などの湿地に咲くところからミソハギ(溝萩)の名がついたという解釈は間違いと思う。
ではなぜミソハギを、精霊を迎えるための花として使ったのだろう。思うに、洋花が日本に渡来する以前の古い時代には、春に咲く花は多くても、お盆の頃に咲く日本原産の身近な花は、極めて少なかったという自然現象の現実的な理由からではなかろうか。お盆の時期に合わせたように咲いてくれるくミソハギは、祖先を迎える格好の花だったのだ。花言葉は「愛の哀しみ」であり、お盆に献花する花として、亡くなった人を偲ぶ気持ちを表している。
田の畔や用水路などで旺盛に生育するミソハギは、葉を茹でて和え物や佃煮にして食べることもでき、花は生でも食べられ、花が終わるころに草全体を採取し乾燥させたものは、煎じて下痢止めにも効果があった。身近にあって極めて便利な植物であり、特別視された存在であっただろう。