7月 オニユリ(鬼百合)ユリ科

日本、朝鮮半島、中国の平地~低山で見られる花であるが、日本では人里近くに限られる種である。ヒガンバナやシャガと同様に三倍体のため、種子はできず、葉の脇にできるムカゴ(珠芽)で繁殖する。朝鮮半島に二倍体があり、対馬には二倍体が多く自生し三倍体と混生する。このことから、古い時代に食用として朝鮮から渡来したと考えられている。珠芽の形成に栄養を取られ、親の球根があまり大きくならないので、現代では食用のユリネは、同じ仲間だが珠芽をつくらないコオニユリが栽培・供給されている。花色が濃橙色で花弁が後ろ向きに反り返っている姿なので、怒った赤鬼を思わせることからついた名前と思われるが、可哀そうだ。とは言え、日本では、濃紅色~淡紅色の花弁をもつ草花は非常に多いが、濃橙色や赤色の花は極めて少ないため、違和感を覚え毒々しく感じる。草丈2mにもなるオニユリが、多数の花をつけ、しかも毒々しい濃橙色の花弁の先端をそり返させた花姿に出会うと、正直言って、筆者も少なからずギョッとする。