南蛮煙管とは、いわゆるマドロスパイプのことで、オランダの船員(matroos)が口にくわえていたパイプを指す。刻みタバコを吸うときに葉を詰めて火をつける煙管の火皿の部分が、日本の煙管よりも大きかった。また、火皿と吸い口をつなぐ軸(羅宇)の部分が短くて、咥えて口にぶら下げることのできるように大きく湾曲していた。日本の軸(羅宇)は長く、竹でできていて、煙管は手で支え持つことが必要だ。ナンバンギセルは、その花と花茎の形がマドロスパイプの形に似ているところからの名前である。淡紫色の花と花茎が10~20㎝前後地上に出て、地下にごく短い茎と鱗片葉が数枚あるだけの寄生植物で、野山のススキの根に寄生し、7月~9月、根元で開花している。暑い時期であるが、穂がでていないススキの、長い葉を押し上げて根元をよく探すというマニアックな作業をすると、運が良ければ、こっそり咲いている姿を見つけることができる。 観察園では、ミョウガの子(花穂)を採ろうとして根元にナンバンギセルが発生しているのをみつけた。驚いて調べてみると、多くのイネ科やカヤツリグサ科などの単子葉植物、例えば、ススキ、サトウキビほか、ミョウガ、ギボウシ、そしてユッカなど木本にまで寄生している事実が判明。その訳を考えると、単子葉植物特有の繊維状の根が、寄生しやすいからと考えられる。となると、これからトウモロコシ、小麦などにも寄生する可能性もあり、寄生されると収穫量が減ることになる・・・・大変だ。