タチアワユキセンダングサ(別名オオバナセンダングサ、Bidens pilosa var. radiata)は、熱帯アメリカ原産で繁殖力は非常に強く、侵略的外来種と考えられている。江戸時代(弘化1844~48年)に観賞用に導入され、約120年後の1963年に高知県で野生化が初めて確認された。現在では、高知県ほか鹿児島県、沖縄諸島、小笠原諸島に定着している。沖縄ではサトウキビの強害雑草とされる。そのためもあり環境省の「生態系被害防止外来種」にリストアップされ、「南西諸島や小笠原諸島といった生物多様性の保全上重要な地域で繁茂している。このような場所には、持ち込まない。」と記されている。 だが、南西諸島の宮古島では、本種の学名から名付けられた「宮古ビデンスピローサ」の名で、「抗酸化作用」「抗炎症作用」「アレルギー抑制作用」に著しい効果があるとして、健康茶や粉末カプセルが製造され、島をあげて大々的に宣伝・販売している。効能については学会に論文が多数だされており、近年ではガンに効く効能があるとして熱心に研究が進められている。
また、花期が長く良い蜜がとれるので、養蜂家にとっては大切な植物であり、オオゴマダラほか南国の華麗なチョウが多数集まる訪蝶花で、チョウの繁殖に貢献している。その意味では生物多様性に貢献している。
雑草とは、目的外の草を指す。サトウキビ栽培では雑草、宮古島では薬草、養蜂家では蜜源となる有用植物である。他の希少植物の生育阻害の観点からは雑草だが、チョウの繁殖の観点からは大切な蜜源植物となる。人間の都合で、雑草とみなされたり、有用植物とみなされたり、タチアワユキセンダングサは、人間の顔色を伺いながら、住む場所を選ぶべきか?