4月 カザグルマ(風車) キンポウゲ科

 秋田県以南の本州、四国、九州、朝鮮、中国の草地や日当たりのよい林縁に大きな群落をつくる落葉つる性木本。見た目は雑草然としたつる植物で、草むらに紛れて目立たない。しかし花が咲くと、泥中に咲くハスの花のように、草むらから突如、際立った美しい姿を見せる。そのため、花の時期でない時は、雑草と一緒に刈り取られ、花が咲くと掘り取られる悲しき宿命の花だ。それゆえ現在では環境省の準絶滅危惧種に指定されている。
 同じ仲間のテッセンは、中国原産でよく似ており、通常、花弁(花弁に見える萼片)6枚がテッセン、8枚がカザグルマと言われている。しかし、カザグルマは多様性の高い植物で、自生する地域により花色は白、淡紫色、紺、ピンクなどがあり、通常8枚の萼片は、6枚から10数枚の個体もあるようだ。

 江戸時代にシーボルトや採集家のR・フォーチュンによってカザグルマやテッセンが西欧に持ち出され、色々な園芸品種が作出された。それらの園芸品種は、クレマチスと呼ばれ、愛好家が多い。

 今春、園芸店から「武蔵野原産のカザグルマ」を購入し、観察園に植栽した。先日、白人の初老男性の来園者があり、カザグルマを見ると、達者な日本語で「このカザグルマはどこ産ですか?」と尋ねてきた。筆者は得意げに武蔵野産の原種と答えた。すると彼は「武蔵野のどこですか」と追尋してきた。ウッと筆者は答えに窮した。

 彼の質問は、要するに武蔵野台地のどの辺のものかであった。武蔵野市に長年在住の筆者は、無意識に武蔵野とは、武蔵野市、三鷹、小金井、小平、西東京あたりを武蔵野と認識していた。だが、武蔵野台地は多摩川、荒川に南北を挟まれ、東は渋谷・新宿を通る京浜東北線で、西は所沢や志木市、川越市を含む地域を意味していた。広い地域であるだけに、自生するカザグルマも武蔵野台地の場所によって色や形が異なる。アメリカ(Washinton DC )出身の彼はそのことを意識して、質問して来たのだった。そのようなことを知らずに、「武蔵野原産です」と説明してきた自分が、無性に恥ずかしくなった。