11月 ローズ・ヒップ(Rose Hip、バラの実)バラ科

 Hipという単語単体で、バラの果実の意味があるが、誤解を避けるため、ローズヒップと呼ばれている。バラの果実の色は赤を主体としてオレンジ色、紫色などがあり、形は球形~紡錘形で、昔からハーブティーやジャム、食用オイル、ビタミンCのサプリメントの材料として使われてきた。こうしたニーズに見合ったローズヒップ生産のため、Dog rose(Rosa canina:西欧に自生する野生のバラ)やハマナスなどが栽培されている。

 野生のdog rose のローズヒップはビタミンCが豊富で、その量はレモンの20倍以上とも言われ、「ビタミンCの爆弾」という別称がつくほどである。第二次世界大戦中、英国はドイツ海軍のUボートによる海上封鎖によってレモンやオレンジの輸入がストップしたので、ビタミンCの補給のため、英国の学童たちは、ローズヒップの採集・供出が命じられたことがあるようだ(日本でも、兵隊の衣服用にイラクサ科のカラムシから繊維を採取して供出するのが、戦時中の学童の仕事だった)。

 写真のローズヒップは、西欧のそれではなく、日本のノイバラの果実である。たいして綺麗でもないノイバラが、初夏の美しい花々に交じり、狭い観察園で大きな顔をして咲いている。このノイバラの本番は11~12月で赤い果実はドライフラワーとしてクリスマス・スワッグやリースなどに重宝である。ナンテンやピラカンサ等の赤い実は、剪定するとすぐ収縮して落果するので飾りに使えない。ノイバラの実は長期間落ちないので、スワッグなどの作品作りのイベントでは、赤い飾りとして主役に躍り出る。日本のノイバラの果実、則ちローズヒップが、ハーブティーやジャムに使うことができるのか・・・まだ試してはいない。