10月 シュウメイギク(秋明菊、キブネギク)キンポウゲ科

 草丈50~60㎝で細く長い花茎の先端にコスモスに似たピンクや白の花を咲かせ、秋風に揺れる姿が好まれている。コスモスや菊の仲間ではなく、アネモネ属(イチリンソウ属)で、古い時代に中国から渡来したと言われている。しかし、詩歌や文学には現れず、園芸が盛んになった徳川時代になって文献に現れるようになった不思議な花である。
 別名をキブネギクと言うが、これは京都左京区の貴船地区に野生化した本種が多く見られることからの名前で、この中国渡来の原種と思われるシュウメイギクは、濃い赤紫色の細い花弁が八重で菊の花である。菊咲きというよりもダリア咲きと表現したほうが花にあっている。この少しアクが強い感じの花であるため人気が出かったのであろうか。現在我々が目にするシュウメイギクは、類の種との交配によって得られたもので、写真のシュウメイギクも交配種である。日本人の感覚として、濃赤紫色でダリア咲きのものよりも、秋風に揺れる楚々とした一重で花弁が大きくなったピンク白の花の方が、好まれたということだろうか。