10月 アメジスト・セージ(サルビア・レウカンサ)シソ科

 メキシコ~中央アメリカの原産で、明治時代後期に日本に渡来。日本でよく知られるサルビアの仲間で、鮮やかな紫色の花穂を出すので、サルビアとの混同を避けるため、同じサルビア属のセージ(ハーブとして知られる)の名と組み合わせてアメジスト・セージの名が流通業界で付けられ、広まった。繁殖力旺盛でブッシュ状に繁茂するので、原産地のメキシコと合わせて、メキシカンブッシュセージとも呼ばれる。学名のレウカンサ(leucantha)はラテン語で白+花を意味するので、原種は紫色の萼と白い唇状花であると思われるが、園芸品種としてはピンクや赤紫の唇状花も出現している。
 ラテン語のサルビアの語源は「健康な salvus」の意味であり、古くからSalvia officinalis が薬草とされていたからで、この薬用サルビアがフランス語ではsauge に転訛し英語でsageに転訛した。すなわち、日本のサルビアも料理用のセージも同じアキギリ属(salvia属)である。日本では、あの赤い花穂のサルビア(Salvia splendens)の名が一般化・固定概念化したので、それ以外のアキギリ属(サルビア属)にはセージの名が冠せられている。また、料理に使われる「セージ」は、欧米で薬用サルビア(Salvia officinalis)に固定概念化されたので、他のセージとは別の種であることも、忘れてはいけない。