10月 マルバフジバカマ(セイヨウフジバカマ)キク科

 アメリカ東部~中部が原産の多年草で、日本には1896年(明治29年)に渡来した。9月~10月の花期になると、茎の頂部に青あるいは白い頭花を多数咲かせる。暗紫色の葉、紫色の茎、青や白い小花のコントラストが美しい。春先の葉の色は光沢のあるチョコレート色で、そのため銅葉フジバカマ、ユーパトリウム・チョコレートの名でも流通している。渡来した約20年後の1915年頃から箱根の強羅周辺に逸出品が見出されており、強羅自然公園に植栽されたものが広がったと考えられている。やがて1935年頃には、小涌谷まで広がり、1968年には横浜でも見られるようになった。現在では関東周辺に多くみられるが、北海道、本州、四国、九州にまで分布を広げている。自生地では森林地域の岩場や木の隙間、茂みの中などの岩の多い地形に多く野生しており、日本では市街地、路傍の石垣の間、特に二次林やスギ林の林床で繁茂している。このことから近年、環境省の生態系被害防止外来種に指定された。
 また、近年の研究で、本種はフジバカマ(Eupatorium japonicum)と同じヒヨドリバナ属(Eupatorium)の仲間ではなく、アゲラティナ属に分離された。従って、ユーパトリウム・チョコレートの名は使えず、アゲラティナ・アルティッシマ・チョコラーテ(Ageratina altissima’Chocolate’)となる。だが、流通業界では旧名のままだ。
 観察園内に花を愛するある女性が「綺麗よ」と植えた旧名ユーパトリウム・チョコレートは、園内のあちらこちらで繁茂しだした。逸出・繁茂しないように駆除作業が必要になった。彼女への説得は・・・理詰めでいくしかないか。