アザミの仲間の多年草で、山菜としては「ヤマゴボウ」と呼ばれている。ヤマホクチの語源は、山に自生していて茸毛(じょうもう、葉の裏に生えている毛)が、火口(ほくち、火打石で火を起こすとき最初に火花を受け止めて着火させ火を燃え上がらせるための燃料)として用いられたからである。本種は本州西部以南に分布するヤマホクチに比べ、本州東部以北に自生し、葉茎が大型でゴツイ感がある草姿なので、オスのヤマホクチの名がついた。すなわち、山の名前ではなく、オ(雄)+ヤマホクチ(山火口)である。
花期は9月 – 11月。花茎の先に暗紫色の4 – 5cmの頭花を下向きに付ける。この花が咲き終わると、野山で見られる野草の花は見納めになる。現代では火口としての用途はないが、特殊な用途として、蕎麦粉の「つなぎ」として知られている。そば粉のつなぎとしては小麦粉が多いが、ヤマイモ、玉子、布海苔(ふのり)、そしてヤマホクチ(ヤマゴボウ)があり、そのような珍しいつなぎを使っていることを、ウリにしている。