オジギソウの学名はMimosa pudica で、ミモザはオジギソウの仲間の名前なのだが、現在ではアカシア類の花をミモザと呼ぶことが一般化した。19世紀に南フランスで、オーストラリアからアカシア類を輸入して植栽したところ、よく繁殖した。2月の寒い時期に丸くボール状の可愛い黄色の花が沢山咲くところから人気の花となった。オジギソウ(ミモザ)もボール状の丸い花(ただしピンク色)で葉も似ているところから、フサアカシアのことをミモザアカシアと呼んでいたが、やがて省略されてミモザとなった。南仏リヴィエラ一帯の有名なミモザ祭は、アカシアの黄色く丸い花を冬の太陽と見立て、春の訪れを祝っての盛大な祭となった。
かくして、ミモザの名は世間から忘れ去られ、しっかりしろよと小突かれて、すみませんと日本ではオジギソウ、中国では恥じて含羞草、米国では感じやすい植物 Sensitive Plant なので、触らないで Touch-me-not と名付けられた。しかし、オジギソウは食植動物からの食害を避けるために、刺激を受けると我が身をことさら小さくみせようと体を縮めているようだ。刺激により特定部位(葉枕)の細胞の水分を他所へ排出して細胞の膨圧(細胞中の水などによって細胞壁にかかる圧力)を失うことにより、その部位の収縮が起こって葉は閉じ、葉柄は垂れる。おまけに枝葉には鋭いトゲがあり、根からは有毒アルカロイドのミモシンを出して、線虫からの被害を防いでいる。非常に用心深い植物と言えよう。目立つのを避け、名前まで消してしまったのか。