9月 カラスザンショウ(烏山椒、食茱茰、茱茰) ミカン科

古代中国では旧暦の9月9日は「重陽の節句」と呼ばれ、厄除けのための「茱茰」を髪に挿して郊外の高い山に登り、邪気払いの香り高い菊酒を親戚一同で飲み交わし、無病息災を願う「登高」の習慣があった。科挙の受験勉強のために郷里を離れ、都に独り住まいをしていた王維は、故郷の人達はいまごろ髪に茱茰を挿して登高し、菊酒を飲み交わしているのだろうなぁと、望郷の念をうたった「九月九日山東の兄弟を憶う」と題した漢詩を作賦している。そこで、厄除けのために髪に挿す「茱茰(しゅゆ)」とはどんな植物かが気になり、多くの漢和辞典・国語辞典で調べた。しかしどの辞典も、グミ、カハハジカミ、ゴシュユ、などとバラバラの植物名が記載されている。中国の各種本草書を和訳して日本で発刊された多数の本草書でも、茱茰の和名として色々な植物名があてられている。筆者は丹念に調べ、「茱茰」とは「食茱茰」の省略名であり、「食茱茰」とはカラスザンショウであることを解明した。そのむね、辞典を出版している多数社にメールで詳細論文を提出して、新刊を出す時は改訂をと要請した。どの会社もカラスザンショウであることを納得したが、編集は学者先生にお願いしているので、自分たちが勝手に訂正することはできないと、すげない返事であった・・・。こうなるとSNSを利用して世の中に知らしめ、間違いを正していく外はない。・・・どうでもいいことかなぁ。