6月の生きもの ジャコウアゲハの幼虫

ジャコウアゲハの成虫は黒いアゲハチョウで、オスの下腹部はジャコウの香りがすることが名前の由来。幼虫は、食草のウマノスズクサを食べて、アリストロキア酸(アルカロイド)という有毒成分を貯めこむ。これにより、幼虫、成虫とも小鳥などから身を守っている。クロアゲハ、カラスアゲハ、ナガサキアゲハ、などのアゲハチョウなどの黒いアゲハチョウやアゲハモドキなどの蛾は、ジャコウアゲハに擬態していると考えられている。蛹は美しく目立つ黄色で、番町皿屋敷のお菊の亡霊の姿に似ていると見て、お菊虫の別名がある。

6月の生きもの キアゲハの幼虫と成虫

我々がよくみるアゲハチョウ(ナミアゲハ)とキアゲハは、飛んでいる姿を見た時はよく似ていて間違うこともある。しかし、幼虫は全く異なる姿をしている。ナミアゲハの幼虫はミカン類やサンショウを食草とし、終齢幼虫は緑色のイモムシで胸部に黒と白の目玉模様ができて、緑色のヘビに擬態しているようだが、愛嬌のある表情ともいえる。一方、キアゲハの終齢幼虫は、黒と緑の派手な縞模様で、黒い縞模様の部分には黄色の警戒色も入り、毒々しい風貌をしている。エサはセリ科植物で、海岸沿いではアシタバ、ハマウドなど、高山地帯ではシシウド、ミヤマウイキョウなど、平地ではセリ、ミツバなど、農地ではニンジン、パセリ、フェンネルなどを食草としているため、生育地が広い。写真の食草はセリ。

6月の生きもの アカボシゴマダラ

40年前の夏、北京郊外の香山公園にて、梢の先を滑空する姿を見かけた蝶だ。ゴマダラチョウにしては大きくて赤い斑紋があるなと、差異を記憶している。今では関東一円に分布し武蔵野市でもよく見られる蝶となった。恐らく蝶マニアが日本で繁殖させたのだろう。在来種のゴマダラチョウよりも越冬幼虫は春早く冬眠から醒め、芽吹いたばかりの食草のエノキの若芽を貪り食い、あとから目覚めた在来種には、若葉が残されていない。2017年11月特定外来生物に指定され、飼育・販売・運搬等が禁止された。観察園では今年、園内に飛来したアカボシゴマダラを7匹捕殺した。