3月 ウラシマソウ(浦島草) サトイモ科
3月 オオバヤシャブシ カバノキ科
観察園だより3月13日号掲載
シキミ、キヌヤナギ、マンサクほか
3月 アカバナフキノトウ (赤花蕗の薹) キク科
3月 キクザキイチゲ
3月 ナナフシモドキ 続々誕生
2月 セツブンソウ(節分草)キンポウゲ科
2月 雪割草 キンポウゲ科
表題に片仮名でなく漢字で雪割草と書いたが、訳がある。片仮名で書くと、サクラソウ科のユキワリソウを意味するからだ。「雪割草」と漢字で書いた場合はキンポウゲ科ミスミソウ属のミスミソウ、オオミスミソウ、スハマソウ、ケスハマソウの4種の総称となる。
則ち、ユキワリソウは、特に谷川岳、日光至仏山、白馬八方尾根などの蛇紋岩地帯で多く見られる高山帯に自生しているサクラソウ科サクラソウ属の多年草の名前であり、栽培は難しく、一般市場にはあまり出回らない。
一方、「雪割草」と漢字で書いた場合は、キンポウゲ科の上記4種の園芸名であり、総称である。それゆえ口頭で園芸店に問合せたり、誰かに説明する際は「キンポウゲ科の雪割草」と伝えることが必要となる。
さて雪割草は、高山植物のユキワリソウよりも栽培難度は高くないが、根腐れや葉焼けしやすい植物である。その中でオオミスミソウは比較的栽培が容易で、他の3種の花色が白、時にピンクと限定的であるのに対して、オオミスミソウは、白、桃、赤、紫、黄色、黄緑色など色彩に富み美しいので人気がある。それゆえ、「雪割草」は、オオミスミソウの代名詞ともなっている。なんともややこしい。
このオオミスミソウ、即ち雪割草はほぼ新潟県に産地が限られており、新潟県の県花となっている。ユキツバキ、ヒメサユリ、タニウツギなど、美しい花の自生地として新潟県は知られている。しかし、なぜ新潟県が産地なのか。日本酒の銘酒も新潟県に多い。美人の産地(?)としても有名だ。ほかに美人の産地としては、秋田、新潟、金沢、京都、鳥取、博多と、日本海側の1県おきが美人の産地と言われている。比較的降雪が多く水がきれいだからか・・・と、女房の前でうっかり声に出して呟いたら、大分県出身の女房は不機嫌な顔で「それは貴方の偏見ョ」と、筆者のあれこれ脈絡なく思考する遊戯は、バッサリ断ち切られてしまった。
2月 ジョウビタキのメス
中国東北部やロシアの極東部沿海地方から、毎年冬に日本にやってくる渡り鳥。スズメよりも少し小さい大きさで、冬は身近な鳥なのだが、気づかないことが多い。しかし、竹箒で落ち葉を掃き寄せていると、どこからか必ずと言ってよいほど現れる。枯葉の下に隠れていたクモ、ゴミムシ、ネキリムシなどガの幼虫を採餌するためだ。山の中では、猪や鹿の歩く後をつけ回しているのだろうか。
否、人間の枯葉を掃除する音を聞きつけて、むき出しになった昆虫などを見つけるほうが、ずっと効率がよいと判断してのことだろう。賢い鳥である。だが、人間を恐れず、ミルワームなどで餌づけると、手のひらの餌を食べるようにもなるようだ。縄張り意識が強く、車のサイドミラーに写った自分の姿をめがけて、飛び掛かる姿もよく見られる。それゆえバカヒタキとも言われている。
雄の頭部は白銀色で、胸~腹はオレンジ色、翼は黒色であるが、雌は全体に灰色がかった褐色で、翼は濃褐色であり、雌雄で羽の色が異なる。雌雄の共通点は、翼に白い紋があることであり、そのためモンツキドリとか、モンツキサンという愛称もある。
それにしては、なんとも難しい名前だ。ジョウ(尉)とは、翁と同様に高齢の男性を意味する言葉で、雄の頭部が銀白色であることから、人間の白髪を連想したものである。そしてヒタキとは、火焚きであり、鳴き声がキッキッキッともカッカッカッとも聞こえる火打石を叩くような音から名付けられたようだ。高齢となった筆者には、こうした高周波の声はあまりよく聞き取れない。故に枯葉掃きをしていて、近寄って来た白い紋つきで、来たなぁと見分けている。
観察園を開園して4~5年間は、雄が毎年やってきて縄張りとしていた。が、ここ10年あまりは、世相を反映してか、毎年雌が縄張りにしている。晩秋に繁殖地の中国東北部やロシアの極東部沿海地方から日本に渡ってきて、3月には繁殖地に戻る。体重わずか13g~20gの小さい体で、よくぞ海を越えて往復できるなぁと感心する。春一番など春の嵐の風に、枯葉のように風に乗って海を渡るのだろうか。思わず、紋付さん、頑張れ!と声をかけたくなる。